トラベル

初投稿から1年を振り返って。- イッシュウカンのこれまでとこれから/ISSUE015

街を好きになるきっかけなんてのは意外なほど些細なことかもしれません。

そこに住まう人と交わした会話だったり、そこでしか味わうことのできないちょっとした体験だったり、もっと曖昧なものでいえば“空気感”だったりであっという間に好きになることもあるんです。

「僕らが旅をする中で出会った街の魅力を少しでも多くの人に伝えたい」「その街を訪れる人が1人でも増えてくれれば」そんな想いを胸に、このサイトを立ち上げ、「イッシュウカンはじまります。/ISSUE 00」を投稿してちょうど1年が経ちました。

イッシュウカンはじまります。/ISSUE 00

何かの機会で、このサイトを訪れてくれた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです!

旅の道中では、もちろん観光名所と言われる場所にも足を運ぶけれど、ふと旅先で撮った写真を見返してみるとそう言った場所よりも、なんとなくその土地“らしさ”が感じられる瞬間や、何気ないワンシーンを切り取った一コマが想像以上に多く見られます。

写真を見返しながら、この1年間で訪れた街のことや、学生時代からの一人旅で訪れた街のことを思い起こすと、印象的だったのはどれもその土地の気候風土や、人々暮らしの中から生まれたモノやカルチャーそれ自体だったり、そういったものを感じることのできる場所であることに気がつきました。

食や工芸、アートに至るまで一見するとその土地に関係ないように思われるものも、少し紐解いていくと実は密接な関わりがあることを知ることができてとても面白いと思うんです。

単純に自分自身の知的好奇心が満たされるという意味合いもあるけれど、そういった文化やモノにふれ、日々の暮らしに取り入れてみるとさまざまな土地とつながりを持てているように思えて、ただそれだけで生活に豊かさが増すように感じられるんですよね。

自分たちの好きを詰め込んだこのサイトを目にして、その土地を訪れてくれたなら、そして同じようにどこかの街を好きになってくれたならこれほど嬉しいことはありません。

これからもイッシュウカンをよろしくお願いします。

僕らが旅した、思い出深いこんな場所

旅が思い出深いものになるのはやっぱり人との出会いが大きいように思います。

街を知るきっかけも、街のことをもっと知るきっかけもやっぱり人との出会いなんですよね。

この1年でたくさんの人と関わる機会をもらうことができました。その中で印象的な2つを紹介したいと思います。

ノ縞屋。トンネルを抜けた先にある、静かな時間

〈ノ縞屋〉トンネルの先の静かな時間。–古町と海の向こうを重ねる

長屋文化が残る新潟・古町の、築80年を超える長屋の一室にひっそりと佇むノ縞屋。

店主自ら現地で買い付けた北欧ヴィンテージを中心に、バルト諸国、東欧、トルコ雑貨などが揃っています。

「古町と北欧って少し似ている気がする。海が近くて雪が少ない。北欧の方がずっと寒いけれど。」穏やかな口調でそう話してくれたのはここの店主の野島さんです。

古くは北前船の交易地として栄えた新潟。明治維新後には諸外国に開かれた港の一つとして発展を続けてきた街でもあります。

この場所では、遥か遠く時代を超え、海を越えてやってきた品々が静かに次なるオーナーとの出会いを待っているようにも思えるんです。

新潟・古町にこのお店があり続けるのはなんだか必然的なのかも。

犬島精錬所美術館。この島が語りかけること

〈犬島精錬所美術館〉「在るもの」が息づく場所。 – 小さな島は僕らに語りかける

3年おきに開催される瀬戸内国際芸術祭の舞台のひとつにもなっている岡山県・犬島。

この島に残されたかつての銅の精錬所を活用した「犬島精錬所美術館」には多くのアートファンが訪れています。

館内を一通り見学していると、ふと「知って見るのと、知らんで見るのじゃ違ってくるじゃろう」と熱のこもった声が耳に入ってきます…。

声の主は2008年の開館当初から美術館のガイドを務める女性の方。

僕らもその中に混ぜてもらって、美術館のこと、現役時代の精錬所のこと、そしてこの島のことをたっぷりと教えてもらいました。

犬島精錬所美術館を通して、島の暮らしや、島そのものに“在る”豊かな自然やかつての人々が作り出し、今に残されたものを感じることが出来ました。

text:Masato Okada & Tomoki Sasaki

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