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〈宮城県 石巻〉前編 ポップカルチャー感じる湊町。 /ISSUE 004

仙石線の車窓からは、時折太平洋が見えていた。
松島を過ぎて少しするとそれも見れなくなり、しばらく走るとようやく終点の石巻駅に到着した。

今回は急遽訪れることになったこともあり、正直なところ、大した予備知識を身に付けることのないまま石巻まで来てしまった。
だから駅舎を出て周囲を見渡すと、この街を見守るように、また来訪者を歓迎してくれるかのようにサイボーグ009のキャラクター達が出向かえていることに驚いた。

石巻駅と石ノ森章太郎が生み出したキャラクター

▲改札をでると、石巻にゆかりがある石ノ森章太郎が生み出したキャラクター達が出迎えてくれる。

石ノ森章太郎ゆかりの地。ポップでレトロな空気に包まれる

ここ石巻は、サイボーグ009や仮面ライダーの原作者・石ノ森章太郎が旧石森町から映画館に行くため、何度も通ったゆかりの地なのだとか。

ちょっぴりレトロな街並みの中に、漫画のキャラクターが点在していて、どことなくメルヘンな雰囲気すら感じられる。
そんな事を思いながら、既にお腹を空かせていた僕らは、列車内で調べて目をつけていたお寿司屋さんへ向かった。

石巻駅前の景色

▲石巻の街には、なんとなく穏やかで優しい時間が流れているような気がした。

駅から15分ほど歩いてようやく辿り着いたのは「すし寳来(すしほうらい)」。
本当は6,7分もあれば歩いて来れるようだったが石ノ森作品のキャラクター達が並ぶ、「石巻マンガロード」に釣られて遠回りをしてしまっていたのだった。

サイボーグ009などは全く世代ではないのだが、世間に、そしてなによりここまで地元に愛されたキャラクター達が並んでいるととても愛おしく感じるし、なんだか楽しい気分になってきてついつい惹かれてしまうのだ。

すし寳来でこの街と海の繋がりを感じる

すし寳来はこじんまりとした素敵な店構えだが、「大将が切り盛りする寿司屋」というだけでなんとなく気後れする。
しかし折角来たのだからと思い切って入ってみると、親切そうなお店の人が笑顔で出迎えてくれた。

注文したのは海鮮丼。エビや金華山沖で獲れた鯖、クジラなど地元で水揚げされた新鮮な海の幸をふんだんに使っているそうだ。
輝きを放っているかのようなネタは一枚一枚に厚みがあり、見るからに食べ応えがありそうで、美味しいに違いないと確信させてくれる。

すしほうらいの海鮮丼

▲ここ石巻では、地元で水揚げされた新鮮な海の幸を気軽に楽しむことができる。

実際に口に運んでみると、思わず「こんなに美味しい海鮮丼は初めてだ!」声に出してしまうほどだ。
白身は透明感がありながらも強い旨味があった。

クジラ肉を食べるのは初めてだったがあまりの美味しさに驚き、食べ終えた頃にはとても満足していた。

石巻と言えば、身がしっかりしていて臭みが少なく脂乗りが大変良いとされる金華サバが有名だが、”捕鯨のまち”としてクジラ肉も名高い。
日本にも数える程しかない捕鯨基地のひとつを、石巻市南東部にある牡鹿半島の鮎川に構えているからだ。

牡鹿半島は三陸海岸の南端に位置し、沖合では親潮と黒潮がぶつかり合う世界でも有数の好漁場だ。
石巻の食や文化を通して、この街が海と深く関わっているのだと強く実感させられる。

“石ノ森ワールド”全開。石ノ森萬画館へ

お腹を満たして満足した僕らは再びマンガロードに戻り旧北上川を目指した。
旧北上川の中洲である「中瀬」と呼ばれる地域には、石ノ森章太郎の記念館である「石ノ森萬画館」がある。

石ノ森萬画館の外観

▲ひたすらマンガロードを進むと、行き着く先に石ノ森萬画館が現れる。
まるで旧北上川の中洲に浮かぶ宇宙船のようだ。

建物はボールを無理矢理潰した宇宙船のような形をしていて特徴的だ。
館内には貴重な原画やキャラクターなどが展示されていてファンはもちろん、そうでない人も石ノ森ワールドを楽しめる作りになっている。

中瀬へと繋がる橋のすぐそばには、90年以上前に建てられた石巻初の百貨店「旧観慶丸商店」や、「いしのまき元気いちば」があり賑わいを感じることができる。

旧観慶丸商店とアートフェスの幟

▲僕たちが訪れた時期は、石巻を舞台にしたアートと音楽、食の総合芸術祭「REBORN ART FESTIVAL」の会期中だった。
旧観慶丸商店は昔も今も石巻のカルチャーの発信地としての役割を果たしている。

この街の、パワーと魅力の発信基地。石巻元気いちば

いしのまき元気いちばは2017年にオープンした、地元の水産加工品や農産物の買い物、食事などが楽しめる複合施設だ。
名前からも想像される通り、東日本大震災からの復興も目的とされている。

震災により大きな被害を受けた水産加工をはじめとしたさまざまな企業の、販路・雇用確保としての大切な役割も果たしている。

いしのまき元気市場の外観

▲中瀬を正面に見る事が出来る川沿いに建ついしのまき元気いちば。
農水産加工品の買い物やを楽しめる店舗と、石巻の食を味わう事が出来る食堂が一体となった複合施設だ。

石巻市は東日本大震災により、最も大きな被害を受けた市町村の一つでもある。
震災からの復興・後世へ伝えることにも力を入れており、石巻を語る上で東日本大震災と切り離す事は難しい。

後編では東日本大震災と伝承のための施設、「みやぎ東日本大震災津波伝承館」について紹介したい。

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