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「新潟の米菓」と、きらりと光る「浮き星」。MIDNIGHT ISSUECAN #05

観光名所を巡ったり、気になっていたレストランへ足を運んだりと旅の楽しみ方って人それぞれありますよね。
僕は旅先のご当地お菓子を見つけて食べるのが好きです。

地域のご当地お菓子で検索をしてみたり、現地のスーパーに立ち寄ってみたりすると思いもよらぬ発見や、お菓子との出会いが楽しめるんです。

今回は新潟の米菓と、つい見た目買いしてしまうほどにかわいい伝統菓子「浮き星」についての話です。

新潟と米菓産業

Befcoばかうけ展望台から望む新潟市内の風景

▲新潟を代表するメーカー・栗山米菓により名付けられた「Befco ばかうけ展望室」からは天気が良い日には市内を一望し、日本海に浮かぶ佐渡島を見ることもできる。

新潟市内のスーパーに訪れた時のこと。
何かご当地お菓子が売っていないかなとお菓子コーナーを覗くと、米菓がやけに多く並んでいることに気が付きました。
チョコレートやスナック菓子の数倍もの量がずらりと並んでいます。

お酒と相性抜群の「柿の種」や、甘じょっぱい味わいが特徴の「雪の宿」、バリエーション豊富な「ばかうけ」といったメジャーどころから、あまり見かけることのない米菓など様々な商品が販売されていました。
袋を手に取り裏面に目をやるとそのほとんどが新潟の企業や県内の工場によって作られています。

新潟の人々の思いは、現代の米菓産業の発展へ

新潟の会社で製造された米菓(サラダホープ/亀田製菓、バター餅せんべい/岩塚製菓、白い風船/亀田製菓)

▲どこかで口にしたことがある米菓の実に多くが新潟で作られている。

実は新潟は米菓の全国シェアの50%以上を占めるのだそうです。
確かに新潟といえば全国を代表する米どころ。それ故に米菓産業がとても活発なのですね。

しかしこれ程までに新潟で米菓産業が根付いたのは“日本屈指の米どころだから”という地理的な理由だけではないのだと言います。
1900年代半ば頃までは決して少なくはないものの、東京などの大都市圏などにおされて新潟の米菓産業は今ほど活発ではなかったのだそうです。

それが1958年の新潟県米加工業協同組合と新潟県農業総合研究所食品研究センターによる共同研究と、メーカー各社の弛まぬ努力が功を奏し、現在の地位を築くようになったのだと言います。

「浮き星」。白鳥に惹かれ見て選ぶ楽しさ

白鳥が描かれた浮き星の外観

▲見かけるとつい買ってしまいたくなるかわいい見た目が特徴の「浮き星」は新潟の伝統菓子でもある。

とてもかわいらしい外観に惹かれ、完全に見た目買いをしてしまったのは新潟の伝統菓子の「浮き星」。
白鳥が描かれたレトロポップな雰囲気の缶を開けると中から出てくるのは金平糖にそっくりな星形のお菓子です。

金平糖がザラメをベースに作られるのに対し、浮き星はもち米をベースに砂糖蜜をかけて作る独自のお菓子です。製法だけでなく食べ方も独特です。
金平糖のようにそのまま口に入れるのかと思いきや、湯呑みなどに入れてお湯を注いでしばらくすると浮き上がってくるのでその様子を楽しみながら味わうのだそうです。

伝統菓子は次の時代へと受け継がれてゆく

お皿に取り出した金平糖のような浮き星

▲金平糖のような見た目だがあられをベースに作られている。
写真の柚子の他、黒糖、さくら、いちご、抹茶やカフェオレなどバリエーションが豊富で選ぶ楽しさも。

とてもかわいらしい外観と楽しみながら味わえる浮き星ですが、現在でも作り続けているのは1900年創業の明治屋ゆかり店の1社のみだそう。
かつてはいくつもの会社が手掛け、市内の様々なお店で取り扱っていたのだといいます。


そんな状況を知ったhickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)が「新潟の伝統菓子の良さを伝えたい!」との思いから、明治屋ゆかり店とタッグを組み、パッケージデザインを工夫し、かつての商品名「ゆか里」からこのお菓子の特徴を直感的に表した「浮き星」へと変更したのだそう。

湯呑みに移したお湯を注ぐ前の浮き星

▲湯呑みの入れた浮き星にお湯を注いで浮かび上がる様子を楽しみながら食べるのがスタンダード。
そのまま食べたりアレンジをしても面白い。

湯呑みに注いで食べる他、コーヒーや紅茶へ入れたり、アイスやヨーグルトへトッピングしたりとアレンジも豊富です。もちろんそのまま食べても美味しいとのことで、実際に食べてみたところあられが持つ優しい食感と、ほんのり適度な甘さが魅力的な味わいでした。

食後のお茶菓子にもぴったりなご当地お菓子をきっかけに、旅先の食文化や、それらを未来へ繋いでいこうとする人々の想いに触れてみてはいかがでしょうか。

それでは皆さん良い夜を。

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