「頭から食べる派」と「しっぽから食べる派」。
世間を二分するほどの論争を巻き起こす危険性すらも抱えている食べ物、それがたいやきだ。
縁起物でもある鯛を丁度良い具合にデフォルメしたそのかわいらしい見た目と、手軽に購入できる入手性の高さから“身近な和菓子”の代表格だ。
そんなたいやきが論争の火種になるのは多くの人々から愛されている証拠なのかもしれない。
「六本木たいやき公民館」に福岡「あまねや」のたいやきが
![文喫エントランスの「六本木たいやき公民館」の看板](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/03/taiyaki-kominkan-signboard-1024x768.jpg)
▲訪れた文喫で偶然開催されていた「六本木たいやき公民館」。
期間限定で2023.3.31(金)まで。
先日、東京・六本木にある“入場料がかかる本屋”としても知られる「文喫」で福岡のおいしいたいやきと出会った。
文喫は、アートやデザイン、建築などの書籍が豊富に揃っていることで有名な「青山ブックセンター六本木店」の跡地で2018年にオープンした書店だ。
気になる本を手にして閲覧室でページを手繰ってみたり、喫茶室でフリーのコーヒーや煎茶、別料金を払えば食事も楽しんだりすることができる。
文喫に入り一日利用の受付けをしてもらうと「期間限定で福岡のたいやきを焼いています。ぜひ食べてみてください」と声をかけられた。
福岡県の遠賀町から“たいやきが食べられるカフェ”「あまねや」が出店しているのだそう。
3種類のたいやきが販売されていて、自家製つぶあんとカスタード、もう一種類は日によって変わる“気まぐれ”。
どうして福岡のたいやきが文喫に?と思ったが、これは東京ミッドタウンで行われている「公民館のしあさってはデザインのしあさって⁉︎」展に連動した企画なのだそうだ。
この展示は「デザイン」と「公民館」の視点から地域社会の未来を考えるというもの。
「公民館×たいやき」をテーマにした連動企画は公民館が地域で果たす役割と、たいやきを食べる人との間で生まれる交流を重ねて表現しているのだとか。
中身がたっぷり詰まったたいやきは絶妙なカリッと感
![文喫店内のたいやき売場に吊るされた提灯](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/03/taiyaki-kominkan-lantern-768x1024.jpg)
![文喫店内のたいやき売場に置かれたショーケースやフライヤー](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/03/taiyaki-showcase-1024x768.jpg)
▲吊り下げられた提灯とたいやきの入ったショーケースが目印。
たいやきの購入に入場料は不要だ。
受付や雑誌などが並ぶフロアから数段あがった正面に提灯とショーケースが置かれていた。
“気まぐれ”の宇治抹茶クリームを注文をすると企画の案内と受け取り時間が書かれた注文票を渡され、喫茶室のレジでのお会計へと進む。
たいやきは注文を受けてから焼き始めるようで15分後の受け取り時間が指定された。
時間になると「とても熱いので気をつけてくださいね」の言葉と共に焼きたてほやほやのアツアツたいやきを受け取りテーブルへと向かう。
しっぽを下に紙袋へ入ったたいやきの頭がチラッと見えていて、「きっとおいしいに違いない!」そう期待に胸が膨らむ。
![あまねやのアツアツたいやき](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/03/amaneya-taiyaki-1024x768.jpg)
▲頭から尻尾の先までしっかり中身が詰まったたいやき。
縁はかりっと中の方はふんわりとした弾力が感じられる。
席に戻りさっそく一口味わってみた。
縁にはしっかりとしたカリッと感がありながらも中の方はふんわりとした弾力のある生地だ。
頭の先からしっぽの先の隅々まで中身がつまっている。
「やっぱりたいやきって良い!」そう思わせてくれるおいしさだ。
「福岡のどこのお店って言ってたっけ?遠賀町ってどのあたりだろう?」
「あまりにも美味しいからもう一つ注文しようかな。次はつぶあんもいいな」
食べているとついつい会話が弾んでくる。
六本木「文喫」。本とたいやきと、偶然の出会いが楽しい
![エントランスに掲げられた文喫の大きな看板](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/03/bunkitsu-signboard-1024x768.jpg)
▲“本と出会う本屋”をコンセプトに掲げる文喫。
リアルな書店の良さを現代に合わせて進化させた新業態だ。
僕は本屋が好きだ。
読書離れやデジタルへの移行、ネット通販の拡大でリアル書店は減少を続けているのだという。
それでも新品の紙とインクのにおいに包まれた店内で、背表紙が綺麗に並び、新刊や注目の書籍は表紙をこちらへ向けてディスプレイされている様子を見ると買う予定がなかった本でもつい手に取ってしまう。
そんな体験はリアル書店ならではのものだと思う。
“本と出会う本屋”は素敵でおいしいたいやきに出会い、知らなかった街とを繋げてくれる本屋だった。
text:Tomoki Sasaki
◇あまねや 福岡県遠賀郡遠賀町遠賀川2-1-46 JR鹿児島本線 遠賀川駅から徒歩すぐ OPEN-11:00〜17:00(夜営業日は~22:00) 休-不定期 HP-https://amane-ya.com
◇文喫 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F 地下鉄日比谷線・大江戸線 六本木駅3,1a出口より徒歩1分 OPEN-9:00〜20:00 休-不定期 HP-https://bunkitsu.jp
「新潟の米菓」と伝統菓子「浮き星」を味わう
![](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/01/CE12B0DA-56F3-43FE-86FE-4948C0D0586C-1024x536.png)
「新潟の米菓」と、きらりと光る「浮き星」。MIDNIGHT ISSUECAN #05
地域のご当地お菓子で検索をしてみたり、現地のスーパーに立ち寄ってみたりすると思いもよらぬ発見や、お菓子との出会いが楽しめる。
今回は新潟の米菓と、つい見た目買いしてしまうほどにかわいい伝統菓子「浮き星」についての話。
食後のお茶菓子にもぴったりなご当地お菓子をきっかけに、旅先の食文化や、それらを未来へ繋いでいこうとする人々の想いに触れてみてるのも。
日本全国津々浦々。お菓子の世界を巡る〈愛すべき日本のお菓子展〉
![](https://issuecan.com/wp-content/uploads/2023/02/B853A6D5-3B55-4185-83D7-D2F7E29FDF6B-1024x538.png)
〈愛すべき日本のお菓子展〉- 辿り着くのは至ってシンプルなもの。
東京銀座の「無印良品」で2023.2.3(金)〜4.23(日)まで開催中の『愛すべき日本のお菓子展』。
日本の食文化である「お菓子」をテーマに、使われる素材やお菓子にまつわる歴史や地域についての魅力を発信する企画展だ。