連載:「旅して出会ったこんな店。」
旅先で出会ったあんな店やこんな店。定番からちょっと意外なメニューまで、旅を愛する食いしん坊におすすめしたい街の素敵な“食”を紹介するコーナー。
たい焼き一匹の値段が4,000円と聞けばきっと誰もが驚くはず。
しかしそのたい焼きの大きさが世界一だとすればどうだろう。
そんな世界一大きなたい焼きを売っている静岡の「丸子峠鯛焼き屋(まりことうげたいやきや)」。
訪れて一目みればその価格にも納得だ。
頭から尻尾までの全長は60センチで、その重量はなんと3.5キロ(⁉︎)にもなる。
丸子峠鯛焼き屋。巨大たい焼きのラインナップ
もちろん桁外れに大きすぎるこのたい焼きを食べ切れるのはよほどの大食漢だろう。
でも安心して欲しい。
超巨大たい焼きの他にもう少しかわいいサイズも販売されている。

▲世界一大きなたい焼きが作られている「丸子峠鯛焼き屋」。
その名前にもある通り、国道1号を脇に逸れた渓流沿いの山間部にポツンと建つ。
そうはいっても中くらいのサイズが26センチ、小さい方が16センチだから通常の13~14センチほどのたい焼きに比べても食べ応えは十分。
中くらいサイズなら見た目のインパクトもなかなかのものだ。
できることなら60センチを注文したいところだけども、この旅のメンバーではとてもじゃないけど完食できないことは火を見るよりも明らかだった。
そこで今回は26センチをセレクト。
お値段はグッとリーズナブルな650円というのも嬉しい。
この大きさでも60センチたい焼きに次いで、日本で二番目の大きさなのだとか。
注文を受けてから1匹ずつ焼き上げられる、“天然物”たい焼き
どのサイズのたい焼きも注文を受けてから焼き始めるスタイル。
このたい焼き店の特徴のひとつが“天然物”と呼ばれる金型を使って焼き上げられること。
「たい焼きに天然も養殖もないだろう」と思われるが、ひとつの金型で1匹分を焼くタイプは“天然物”、一度に5,6匹以上をまとめて焼くことができるたい焼きを“養殖物”と呼ぶんだとか。
金型による違いは、焼き上がりの行程だけでなく、たい焼きそのものの食感にも違いがあるのだそう。
天然物はパリッとした薄皮で、養殖物はふんわりとした食感だと言われている。
どちらの方が良いというよりは、たい焼き通にとっては好みの問題だというから実に奥の深い世界。

▲26センチたい焼きもCDと比べるとそのサイズが良くわかる。
このCDはお店の関係者か地元の方だかが「持って行きなさい」となぜだか渡してくれたもの。
サイズもそれなりにあるためか注文してから待つこと10数分…。
受け取ったたい焼きは、金型そのもののデザインに、大きなサイズも相まってか愛嬌ある見た目というよりは精巧で躍動感に溢れている。
本当は尻尾からガブリといきたいところだけどちぎって分けて食べることに。
パリッとした皮の中にはあんがぎっしりと詰まっている。
大きなたい焼きだけれどもあんの甘さが適度に抑えられていて、最後の一口まで美味しく味わうことができた。

▲普通のたい焼きの倍近い全長の26センチたい焼き。
厚みも十分で、中には適度な甘さのあんがぎっしり。
ワゴン車に積み込まれる巨大たい焼きは、アメリカンなピザのよう
たい焼きを食べ終わった頃、僕らの後にやってきた家族の注文した超巨大たい焼きが出来上がったようで、たい焼きが入っているとは思えないほど大きな化粧箱を両手で抱え車に積み込んでいた。
遠目に見ればアメリカンサイズのドデカいピザを運んでいるようにしか見えない。
甘ったるさを感じさせないたい焼きとはいえ、やはりたい焼きを食べたらほろ苦いコーヒーも欲しくなるところ。
そんなお客の心を察してか、お店にはこの道をもう少し登った先にカフェ「ハシムコウ」がありますとの案内も。
次回たい焼きとセットで訪れてみるのも良さそうだ。
text:Tomoki Sasaki

丸子峠鯛焼き屋
◇丸子峠鯛焼き屋
静岡市駿河区丸子5787-1
静清バイパス丸子ICより約5分
OPEN-10:00~17:00
休-水
HP-http://www.taiyaki2121.com/index.html
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