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〈スマート珈琲店〉世界一のフレンチトーストは老舗の喫茶店に。

喫茶店というのは奥が深い。

とにかく1杯のコーヒーにこだわる店。洒落た内装で魅せる店。可愛らしいメニューで楽しませる店。
居心地の良い空間を届ける店。

一芸に秀でた店や、イマイチな部分がありながらも光るセンスを感じさせる店など
訪れる店の数だけ楽しさを見つけることができるのが喫茶店の世界だ。

もはや沼と言ってもいいだろう。ハマると抜け出せなくなるほどの魅力がそこにはある。

ならば京都の寺町通りにある「スマート珈琲店」はどんな店と言えるだろうか。
素晴らしい店で魅力はあげればキリがないが一つだけ間違いがないのが食事の美味しい店であるということだ。

ここの「フレンチトースト」は間違いなく世界で一番美味しい。

寺町専門店会商店街の中に「スマート珈琲店」はある

寺町専門店会商店街は週末の昼ということもあって多くの人で賑わっていた。
「スマート珈琲店」はこの商店街の中で創業90年を超える老舗の名店だ。

商店街の中には1751年創業の古書店「佐々木竹苞書楼(ささきちくほうしょろう)」や、
1663年創業の書画用品・香の専門店である「鳩居堂(きゅうきょどう)」など京都らしい趣と歴史のある老舗の専門店も並んでいる。
専門店会商店街の名は伊達じゃない。

“スマート”な佇まいに自然と足が向く

商店街には新旧様々な店舗が立ち並び、少し進むと店の前の行列が目に入ってくる。
大きなコーヒーミルの置物が目印の「スマート珈琲店」。

金色に輝くの店名が品の良さとその名に恥じない“スマートさ”を醸し出している。

昼時の並びの列は2列に分かれていて、カフェ利用かランチ利用かによって並ぶ列が異なるが、
土曜日ということもありカフェ利用でも少し並んで待つこと15分程で店内に案内された。

山小屋をイメージした店内には真っ赤なコーヒー缶が

スイスの山小屋をイメージしたという店内は木の温もりで落ち着いた雰囲気が漂い、
横幅はコンパクトながらも天井の高さからか窮屈さを全く感じさせない。

ランチ利用では2階に案内されるが、2階へ上がる階段にはスマート珈琲店オリジナルの赤いコーヒー缶がずらっと並んでいる。
珈琲豆はドイツ製プロバット機にて、毎朝焙煎していてお土産に購入することも可能。

絶品のデザートメニューたち

お待ちかねの「フレンチトースト」は今日もいつもと同じく世界一の味だった。

一体何がそんなに他と違うのか。
一言で言ってしまえばここのフレンチトーストは全てが丁度良く、全てが他を少し上回っている。
そんな感じなのだ。

バター香るカリッとした表面。ふわっとした本体の断面はナイフを入れると卵液に浸りすぎず浸らなすぎずなことがわかる。
プルプルと表現される程もの凄い卵液に浸りまくったフレンチトーストも美味しいかもしれないが、個人的にはこのくらいが丁度良い。

生地自体についたほのかな甘みはそのまま食べても十分に美味しいが、
甘さ控えめのメープルシロップをたっぷりとかけて食べると尚一層美味しい。

味のレーダーチャートでも作るとすればどこかが飛び抜けているわけではなく、全てが綺麗に高い点数を出している。
まさに全てが丁度良い世界一のフレンチトーストなのだ。

個人的にはフレンチトースト推しだが、スマート珈琲店の名物といえば一番の代表格は「ホットケーキ」との声もある。

これがホットケーキの正解というべき完璧なルックスであり、その日の天気に合わせて材料の配合を変えるこだわりの逸品。

生地がしっかりとしていながらもパサつきは感じないその味わいは、スタンダードながらも丁寧に作られている感じが伝わる。
こちらも甘さ控えめのメープルシロップをたっぷりとかけていただいた。

京都で長年愛される理由

スマート珈琲店は朝昼晩いつでも同じメニューを同じ味で食べれるのがこだわりらしい。

僕も訪れる度にこの同じ味にホッとするし、誰に薦めても大丈夫という安心感が心強いから喫茶店トークになれば
いつだってスマート珈琲店の話をしてきた。

いつも変わらない居心地の良い空間。いつも変わらない味。

毎日帰る我が家がホッとするのと同じように、当たり前にそこに在り続けてくれることがありがたく、
それが京都で長年愛される理由なのだろう。

気になった人はぜひ一度この居心地の良い空間と世界一のフレンチトーストを求めて訪れてみて欲しい。

text: Masato Okada

久しぶりの京都ではまた知らなかった景色を見ることができた

〈京都府京都市〉老舗とニューウェーブを巡って。/ISSUE014

「そうだ」この一言で大体の日本人はこの街のことを思い浮かべる呪いにかけられている気がする。

およそ3年ぶりに訪れた日本を代表とする街、いや、“This is 日本”といえる京都の街。

百年生き抜く老舗の名店から新しい伝統を築き始めている“ニューウェーブ”まで各所を巡ってみると
以前とはまた変わって京都の知らなかった景色を見ることができた。

イノダコーヒで味わう“京都の喫茶文化”

イノダコーヒアイキャッチ

〈イノダコーヒ〉本の中の喫茶店に憧れて。- 僕と京都のハムサンド

学生の頃憧れの場所があった。きっかけは書店で手にした一冊の本。

京都の喫茶店といえば?と質問すれば誰もが口を揃えて答える老舗の名店「イノダコーヒ」は、
京都人にとってはなくてはならない存在らしく、観光シーズンには行列ができることも珍しくない。

そんな「イノダコーヒ 本店」で出会ったハムサンドは僕の忘れられない思い出の味になった。

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