連載:「旅して出会ったこんな店。」
旅先で出会ったあんな店やこんな店。定番からちょっと意外なメニューまで、旅を愛する食いしん坊におすすめしたい街の素敵な“食”を紹介するコーナー。
京都のsuba(すば)という蕎麦屋さんを知っているだろうか。
最近SNSや雑誌でも見かける京都の進化系立ち食いの蕎麦屋さんだ。
店の特徴は古民家を改装した看板のない門構え、陶芸作家が手がけた立ち食いカウンターが2つのミニマルな空間。
進化系の異名は何も店の佇まいだけではない。そば自体のルックスもかっこいい。
雑誌で見かけたそばはどんぶりから具がはみ出た豪快な姿でありながら、どこか繊細さも感じさせてくれる。
僕の抱いたそばへの印象はやはり多くの支持を集めているようで、今では女性を中心に客が殺到する人気店になっているらしい。
行きたい。
でも京都遠い。
この間京都に行った時に行けばよかった。
また京都に行く機会はあるだろうけどそんなに頻繁には行かない場所なのでしばらく我慢するしかないな、と思っていた矢先に東京でも食べれられるという噂を耳にした。
代々木に誕生した寄
Graphpaper(グラフペーパー)などのブランドも手掛けるクリエイティブディレクター南貴之がプロデュースする、衣食住を網羅した複合型ショップが東京・代々木三丁目にオープン。
その中にある「寄(よせ)」は“寄り合い”をコンセプトとした食のセレクトショップであり、全国から厳選された美味しいものが楽しめる店となっている。
どうやらそこでsubaが食べられるらしい。
▲ メニューの中には「京都すば」の文字が。
メニューには確かにsubaの名前があった。まさか京都に行かずに食べられるとは夢にも思わなかった。
注文を終え、そばが到着するまでは「フォレストシロップのソーダ割り」なるものを飲んで待つことに。
このフォレストシロップは、日本草木研究所が手がけた国産の野生香木を蒸留・加工した新感覚シロップらしく、飲むと鼻から丸太が飛び出してくるんじゃないかという程に森。
シトラスやベリーの果実感も感じるドリンクとしても美味しいものだったのでおすすめだ。
全国にはこんな物があるのかと驚きと同時に寄の感度の高さにも驚く。
▲ そばが到着。「ホルモン油カスと九条ネギ」と「飛騨ジャンボなめこ」。
そうこうしているうちに注文したそばがやってきた。
期待通りのビジュアル。こんなに大きななめこのそばも見た事がない。
昆布と鰹の関西風味の汁の中に漂う二八そばも美味で、その見た目のインパクトに反した素朴で懐かしい味わいがいくらでも食べれられる錯覚を起こしてくれる。
ホルモン油カスはその名を聞くとこってりした味を想像しがちだが、こちらも思った以上にあっさりとして食べやすい。
注文した二つのメニュー以外にも気になるものばかりで季節によってメニューも変わるようなので他にもいろいろと楽しめそうだ。
今回は旅では出会えなかった店に思いがけず出会えてしまった回になった。
京都のお店にもいつか行ってみたい。
text:Masato Okada
寄(よせ)
◇ 東京都渋谷区代々木3丁目38-10 小田急線「参宮橋駅」から283m OPEN-11:30〜23:00(LO 22:30)、 休-水 instagram-https://www.instagram.com/yose_tokyo/
久しぶりの京都ではまた知らなかった景色を見ることができた
〈京都府京都市〉老舗とニューウェーブを巡って。/ISSUE014
「そうだ」この一言で大体の日本人はこの街のことを思い浮かべる呪いにかけられている気がする。
およそ3年ぶりに訪れた日本を代表とする街、いや、“This is 日本”といえる京都の街。
百年生き抜く老舗の名店から昨今注目の町中華を始めとした“ニューウェーブ”まで各所を巡ってみると
以前とはまた変わって京都の知らなかった景色を見ることができた。