今回の旅は、僕らが以前勤めていた旅行会社の同期でもある静岡出身の友人がアレンジをしてくれて、 2日間の案内までしてくれることになっていた。
それもあってか普段なら旅の始まりはワクワク感とともに、「いい旅になるだろうか」と若干の不安が頭をよぎるけど、今回は静岡駅に降り立った時から期待でいっぱいだった。
東海道新幹線の車窓からも、雲ひとつない青空をバックに雄大な富士山の姿を拝めたのだから「いい旅になるに違いない」、そう確信していた。
東海軒のサンドイッチ弁当。静岡を代表するロングセラー駅弁
静岡行きが決まってからは旅の道中に静岡ならではの駅弁を食べたくて、ネットの海を渡り歩きながら情報収集していた。
そんな中で目にしたのが「東海軒のサンドイッチ弁当」。
トリコロールカラーを纏ったレトロなパッケージに惹かれて「これは外せない!」と目星をつけていたもののどうやら東京近郊では手に入らないらしい。
それでもどうしても食べてみたくて本末転倒ながら行きの新幹線で食べるのを諦めて静岡駅に着いてからサンドイッチ弁当を入手することに。
▲レトロパッケージを開けると、サンドイッチの定番・ハムサンドと玉子サンドが顔を出す。
東海軒のサンドイッチ弁当が誕生したのは明治33年。看板メニューのひとつ「鯛めし」の誕生が明治30年だからそれに肩を並べるほど歴史の長いのだそう。
フタを開けると中からはサンドイッチの定番といえるハムサンドと玉子サンドの2種類が顔を出す。
パンの柔らかさと素材の美味しさを存分に楽しめるシンプルさは、ロングセラーとして愛されるのも納得の味だ。
〈東海軒のサンドイッチ弁当〉ロングセラーの愛され駅弁を食す。
CHA10で静岡のお茶文化を感じる
静岡“らしさ”を味わうのにやっぱりお茶は外せない。
静岡は日本茶の三大産地のひとつで日本一の生産量を誇っている。だから新幹線の車窓からも茶畑が多くみられるし、市内にはお茶を出すカフェも沢山ある。
その中で僕らが訪れたのは新静岡駅にほど近い「CHA10(チャトウ)」。有機栽培のお茶にこだわりながらも、気軽にお茶文化を楽しむことができるスタイリッシュな“ティースタンド”だ。
▲新静岡駅の裏手にはスタイリッシュなティスタンドCHA10が。
お店の方にすすめてもらった「NITRO(ナイトロ)抹茶」を注文すると脚付きのグラスで提供された。
グラス上層の窒素を注入したきめ細かい気泡と、その下の引き込まれそうなほど深い色味の抹茶とのコントラストが美しい。
滑らかな口当たりと、力強くも上品な抹茶の旨味を同時に楽しめる飲みやすい一杯だ。
2杯目を注文したくなるほどの美味しさに後ろ髪をひかれつつ次の目的地を目指した。
▲おすすめのNITRO抹茶は滑らかな口当たりと、上品で力強い抹茶の旨味が楽しめる一杯。
炭焼きレストランさわやかの、人気の秘密に納得
静岡に着いてからまだ食べたり飲んだりしかしていないけどお次も静岡グルメ。
やってきたのは県内限定で展開しているローカルファミレス「炭焼きレストランさわやか」だ。
その人気っぷりと一度食べるとどハマりするという中毒性の高さは耳にしていたものの今まで食べる機会がなく密かに訪れるのを楽しみにしていた。
1977年にコーヒーショップとしてスタートしたさわやか。炭火焼きのハンバーグが人気メニューとなり全国区の知名度を誇るまでになったのだとか。高いクオリティを維持するために加工工場から一定時間で配送ができる静岡県内のみに絞った店舗展開を守り続けているのも人気の理由のひとつ。
▲静岡県内でしか展開していないさわやかの一番人気はげんこつハンバーグ。
香ばしく凝縮された旨みがたまらなく美味しい。
注文したのはもちろんげんこつハンバーグ。
しばらくするとウェイターが牛をモチーフにした熱々の鉄板にのせてハンバーグを持ってきてくれた。
目の前で半分に切り分けられ、切り口を鉄板に押し付けるとジュワッと大きな音と共に煙が立ち上る。
ナイフとフォークを使って早速ひとくち食べてみると、香ばしい味わいとワイルドな旨みが口いっぱいに広がった。
休日のお昼時ともなれば1, 2時間待ちは当たり前とも言われるさわやか。一度食べればその理由も納得だ。
〈炭焼きレストランさわやか〉静岡のローカルファミレスに魅せられて。
清水エスパルス。“サッカー王国”静岡の名門クラブ
静岡といえば“富士山”とか“お茶”とか全国的によく知られたものがいくつもあるが、実は数多くのJリーガーを輩出し、全国高校サッカー選手権では幾度となく優勝を飾る強豪校を擁する“サッカー王国”だということを忘れてはならない。
せっかくだからサッカー王国で試合観戦をしてみたくて日本平へとやってきた。
この日はIAIスタジアム日本平を本拠地にする清水エスパルスVS東京ヴェルディの一戦。
エスパルスはJリーグ発足当時からある名門クラブで、昨季の成績不振によりJ2に降格するも地元からは絶大な人気を誇る。
チームカラーのオレンジ一色に染まったスタジアム内では太鼓やチャントが鳴り響き、試合前にも関わらずサポーターの熱気が充満していた。
▲オレンジ一色に染まるIAIスタジアム。
手に汗握る試合展開が続き、試合終了間際の決勝ゴールで場内の熱気は最高潮に達した。
試合は開始早々に今季好調の東京ヴェルディが1点を決めるも、前半終了間際にエスパルスが放ったシュートで1-1に追いつく形で後半へと突入。
その後は両チームが激しい攻防を繰り広げ一向に得点が入らないまま試合終了が刻一刻と迫ってきた。
このままドローで終わるかに思えた瞬間、エスパルス神谷選手のコーナーキックにオ・セフン選手が頭で合わせ決勝ゴール。
今季初勝利をおさめスタジアムの熱気は最高潮に達した。
正直スポーツはあまり得意ではないけれど、こうして選手とサポートが一体となって勝利を目指すこの空間が心底好きに思えた。
焼津グランドホテル。海の気配を感じるオールインクルーシブホテル
IAIスタジアムからは国道150号線と県道416号線でこの日の宿へと向かう。
傾き始めた陽射しに照らされた海沿いの道を走り続けること約40分、ようやく「焼津グランドホテル」に到着した。
▲IAIスタジアムから焼津グランドホテルへの道中、まっすぐに伸びる国道150号からは美しい駿河湾が望めた。
焼津グランドホテルは宿泊料金の中に、食事やレストラン・ラウンジ・カフェなどで提供されるアルコールを含めたドリンク、屋内外でのスポーツをはじめとしたアクティビティ代金などが全て含まれたオールインクルーシブスタイルを採用しているのが特徴の温泉付きリゾートだ。
フロントでチェックインを済ませ、客室へと向かう前にまず宿泊客専用ラウンジへと立ち寄ることに。テラスにも通じるラウンジではドリンクとお菓子を片手に駿河湾の雄大な景色を眺めることができる。ラウンジを後にして東館7階のオーシャンビュー和洋室へと向かうとラウンジからの眺めにも負けないほどの絶景が広がっていた。
▲オーシャンビュー和洋室からは刻一刻と移ろう駿河湾の絶景がひろがる。
ライフスタイルが多様化しホテルでの過ごし方も十人十色。
そんな時にオールインクルーシブスタイルなら思い思いの自由なひと時を過ごすことができる。
ライブラリーと卓球コーナーが一体になったインドアプレイエリア「大樹のこかげ」では学生グループが備え付けのボードーゲームを囲み盛り上がっているワンシーンも。
焼津グランドホテルは館内のどこにいても優しく穏やかな海の気配を感じながら、自分らしく過ごすことができるゆとりある空間が広がっていた。
ホテル自慢のビュッフェのディナーと、駿河湾を望む絶景風呂と堪能して客室に戻ると大きな窓の外にまん丸の月がぽっかりと浮かんでいた。
真っ暗な海面を一筋の月光が照らし出す“月の道”は息を呑むほどに美しかった。
さあ、明日はどんな体験が待っているだろうか。
▲客室から望む“月の道”は息を呑むほどの美しさ。
〈焼津グランドホテル〉海の気配がそばにある、オールインクルーシブホテル。
text:Tomoki Sasaki
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