立秋を境に暦の上では秋になっているとはいえまだまだ暑い日が続いていますね。
ジメッとまとわりつくような暑さは外へ出るのも億劫にさせますが、今年は夏祭りに、花火大会、盆踊りなど中止になっていた夏の風物詩が復活してくれて、ようやく“待ち望んでいた夏”が戻ってきてくれたような嬉しさもあります。
皆さんはなにか夏らしさを感じられるイベントに足を運びましたか?
僕は8月5,6日の2日間に栃木県宇都宮で開催された「ふるさと宮まつり」へ行ってきました。
ふるさと宮まつりもコロナ禍で3年連続で開催が叶わず、今年は4年ぶりにようやく実施されました。
県内屈指の規模を誇る夏祭りで、市内外から多くの人が開催を待ち望んでいただけあって初日の動員は30万人と近年で最多、2日間通して62万人が訪れたのだそう。
2018年、2019年と続けて足を運んでいた僕も再開を心待ちにしていた1人でした。
市内中心部はお祭りムード一色に
お祭りの舞台になるのはJR宇都宮駅から東武宇都宮駅がある中心市街へ向かって延びる大通りの1kmほどとその周辺一帯の地域です。
この日は通行規制がかかる市街地の道路沿いには多くの出店が並び、地元商店やホテルなども軒先で営業をしていて、宇都宮の中心地は熱気に包まれます。
▲会場の一つで、大通りに並行するオリオン通りは七夕の飾りつけがされていて一層華やかさを増していた。
お昼頃からは会場内の特設ステージなどでおはやし演奏をはじめとした各種イベントが開かれ、街にはお祭りの空気が漂っているのですが、やはり交通規制が始まる夕方になるとここからが本番といった雰囲気が強くなります。
▲パレードが始まる直前まで焼きそばや宇都宮餃子を食べながらのんびりとお祭り気分を味わっていた。
交通規制で大通りから一切の一般車がいなくなると入れ替わるように入ってくるのが消防音楽隊や高校吹奏楽部など、パレードに参加する栃木県内のさまざまな団体。
中には県内のプロレス団体「栃木プロレス」の“ちょっとコワモテ”な姿も見られました。
圧巻のパフォーマンスを繰り広げるパレード
これから始まるパレードでは9つの団体が封鎖された大通りの内、約500mの間を往復しながらさまざまなパフォーマンスを繰り広げていきます。
往復1kmの間には9か所のポイントが設けられていて、各ポイントでは出演団体がその場で5分ほどのパフォーマンスを観客へと披露。栃木県障害者スポーツ協会による競技実演や、「栃木エイサーシンカ 琉和」による力強く美しい琉球の伝統芸能エイサーなどどれも見応えがあります。
▲パレード参加団体の一つ「栃木エイサーシンカ 琉和」の力強い演技は多くの観客を惹きつけていた。
華やかな管楽器の音色とリズミカルな打楽器が奏でながら消防音楽隊と県内高校生によるマーチングが目の前を通過していき、続いてやってきたのが栃木プロレスです。
パイプ椅子を持った覆面姿の男たちが路上で繰り広げるパフォーマンス…。
もしやと思ったら、そのもしやでした。
なんと「灼熱のアスファルト上でプロレス試合を行う」と高らかに宣言するやいなや、ゴングが鳴ると同時に迫力満点の試合が始まりました。
もちろん持参したパイプ椅子を高く掲げ、レフェリーの隙をついたプロレスの“お約束”もやってくれます。
試合が終わるとお祭りを盛大に盛り上げてくれたレスラー達へ大きな拍手が湧き起こりました。
▲パレード参加団体がはけると一気にお囃子トラックが入場し賑やかな演奏が始まった。
パレードが終了すると今度はおはやしが入場し大通りの至る所で演奏が始まるとともに、市内各地域の御神輿が威勢の良い掛け声ととも通りを練り歩きます。
約3時間ほどの間に40基を超える御神輿が練り歩く様子はまさに圧巻です。
心のふれあいを求めて生まれた、夏の恒例行事
宇都宮の夏の風物詩として親しまれているふるさと宮まつりの開催は2023年が第48回目。
1976年が第1回目なので大体半世紀ほどの歴史なのだそうです。
高度経済成長を経て急激な発展を遂げた宇都宮はそれと引き換えるようにこの街で暮らす人々同士の“心のふれあいの場”が減ってしまっていたのだといいます。
そんな中で生まれたのがこのお祭りで、当初1回だけの開催を予定していたものの多くの市民に好評だったのを受けて、以降毎年8月第1週の土日に行われる恒例のお祭りへと繋がったのだとか。
現在ではお祭りの参加団体がメンバーを出し合って開催委員会を作り、企画から運営などを手掛けているのだそうです。
▲威勢の良い掛け声とともに40基もの御神輿が宇都宮の街を練り歩く。
実際にお祭りに足を運んでみると、地域の人々の手で作られ、当日は参加団体や訪れる人達が心を一つに大いに盛り上がるふるさと宮まつりは、まさに“心のふれあいの場”としての精神が根付いているように感じられますよ。
4年ぶりの熱気を取り戻した、ふるさと宮まつり
思い返せば2020年、2021年は早い段階でお祭りが実施されないことが決まり、仕方ないとはいえなんだか寂しい思いでいました。
2022年は開催決定が発表されたものの新型コロナウイルスの感染拡大に、開催の3日前に中止が発表される事態となり多くの人が悔しさを滲ませたはずです。
4年ぶりの開催となった2023年は当日の運営を行う人も、出演する人も、お店を出している人も、このお祭りに携わる全ての人から「今年のお祭りをなんとしても盛りあげるんだ!」「絶対に成功させるんだ!」という思いがヒシヒシと伝わってきました。
観客達もその想いに応えるように、4年ぶりに開催されたお祭りへの感謝の念を持って大いに盛り上がっていたように思えます。
▲一際賑やかさを増す二荒山神社の鳥居前は熱気に包まれていた。
県内屈指の大規模イベントでありながらどことなく地域愛に満ちたローカルさを感じられるのがふるさと宮まつりの魅力なんですよね。
お盆を過ぎても全国各地ではお祭りなど開催が多く予定されていますね。次回のふるさと宮まつりは1年後を待たないといけなけれど、待ちわびていた“熱い夏”はまだまだ続きそうです。
text:Tomoki Sasaki
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〈フジロックフェスティバル 2023〉今年も迫る音楽の祭典。去年の夏を振り返って MIDNIGHT ISSUECAN #07
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