いよいよ5月に入り、今年も待ちに待ったGWが始まりますね。
どこかへ遠出する人、家でのんびり過ごす人、休まず働く人、さまざまいるかと思います。
今年は最大11連休なんて声も聞こえてくるのでもしかしたらコロナ前以来の海外旅行へなんて人もいるかもしれませんね。羨ましい…。
海外旅行のことを考えていたら、5年前の年末に行ったウィーンを思い出してしまったのですが、
このウィーンへの旅で僕はある素敵なパンとの出会いを経験しました。
パンの名は「ブフテルン」
ウィーンの老舗のカフェである「カフェ・ハヴェルカ」で提供される名物パンです。
ウィーンの老舗 カフェ・ハヴェルカ
▲ 優しい灯りに包まれた店内は地元客でいっぱい。
タキシードを着た店員さんが注文を取ってくれました。
あ、ごめんなさい。
出会ったというか正確には出会えなかったので、ブフテルンは後日自分で作りました。
素敵なパンを知ったっていうのが正しいです。
ざっくり事の顛末を説明しますと…。
ハヴェルカでは夜の20時ごろになるとブフテルンが焼き上がるということだったので、20時過ぎくらいにお店に到着。
地元客で埋め尽くされたほぼ満席の店内は20時を過ぎると多くの客が待ってましたとばかりにブフテルンを一斉に注文。
カフェに入店できたのは良いものの、ブフテルン争奪戦には惜しくも敗れてしまったのでした。無念。
しかし、そんな悲しき日本人を哀れに思ったのか、薄いグリーンのセーターを着た若いマスターが近づいてきて声をかけてくれました。
マ:「君たち日本人だよね?」「ウィーンまでは飛行機でどのくらいかかるの?」
僕:「イ、イエス」「20時間くらいですかね」
マ:「20時間!?」「遠いところからわざわざありがとう」「だったらなんとしてもブフテルン食べさせたいな」「明日は来れる?」
僕:「ごめんなさい…。明日の早い時間で日本に帰るんです…」
マ:「oh…じゃあホテルはどの辺?近くなら届けられるかも!」
僕:「ごめんなさい…。ホテルは川の向こうなんです…」
マ:「oh…」
万策尽きて結局ブフテルンは食べられなかったのですが、紳士な若きマスターはやり取りの最後にこんな言葉をかけてくれました。
「このカフェは10年後も20年後もここで営業してるからまたウィーンに来ることがあったらその時は必ずブフテルンをごちそうするね」
簡単な短時間のやり取りでしかなかったのですが、このブフテルンをめぐるやり取りがウィーンの旅で最も印象に残った瞬間でもありました。
今年のGWはパン目当ての旅なんてのも
▲ どこまでも親切なマスターはブフテルンのお詫びにと「マジパン」をサービスしてくれました。
※ マジパンは粉末に挽いたアーモンドと砂糖、卵白などを混ぜてペースト状にかためた洋菓子。
思い返せばイッシュウカンの取材の中でも地元のパン屋さんというのはついつい寄ってしまいがちなのですが、
それってその地域の日常や生活の一部に触れられるような気がするから行ってしまうみたいなところがあるんです。
いわゆる郷土料理とかご当地グルメとかじゃなくて地域のパン屋さん。
おしゃれなお店も味な老舗もさまざまあって面白い。
皆さんもこのGWはパンを目当てにどこかへ旅に出かけてみるなんていかがでしょう。
思いがけない素敵な出会いが待ってるかもしれませんよ。
▲ 後日自分で焼いたブフテルン。粉糖をたっぷりかけた「ちぎりパン」で、
中にはプルーンのジャムが入ってます。ついでにシナモンロールも焼きました。
ちなみにまだ本物のブフテルンを食べたことがないのでなんとしてもリベンジにウィーンに行かないとなのですが、
すぐ行けそうにないのでしばらくは日本各地で素敵なパンを探す予定です。
雑誌とかで見かける山奥の行きづらいパン屋さんとか行ってみたいな。
それでは皆さん良い夜を。
text: Masato Okada
イノダコーヒで味わう“京都の喫茶文化”
〈イノダコーヒ〉本の中の喫茶店に憧れて。- 僕と京都のハムサンド
学生の頃憧れの場所があった。きっかけは書店で手にした一冊の本。
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京都人にとってはなくてはならない存在らしく、観光シーズンには行列ができることも珍しくない。
そんな「イノダコーヒ 本店」で出会ったハムサンドは僕の忘れられない思い出の味になった。
中之条で見つけた昭和レトロな街のパン屋さん
昭和レトロって新しい。
“湯の町”として知られる群馬県中之条町。
四万、沢渡、六合…名湯湧き出るこの街で、長らく愛され続ける昭和レトロな「街のパン屋さん」を見つけた。
駅からの道中に通りかかったその店は、ヨーロッパテイストが入り混じった昭和のレトロポップを思わせる外観。
一応平成生まれだからリアルな昭和の風景は知らない。
だからこそ、むしろ昭和レトロはちょっと新鮮な景色でもあり、惹かれるものがあるのだ。