フード

〈炭焼きレストランさわやか〉静岡のローカルファミレスに魅せられて。

静岡に行ったのなら、「ぜひ食べてみたい!」と密かに楽しみにしていたものがあった。
それが「炭焼きレストランさわやか」のハンバーグだ。

“静岡を訪れたらさわやか”というと鉄板コース過ぎて、大っぴらには言えなかったのだが内心はどうしても食べてみたいと思っていたのだ。

この日は、お昼ごはんを食べた後にIAIスタジアム日本平で、地元の名門サッカークラブ「清水エスパルス」の試合を観戦することになっていた。
それなら、さわやかの看板メニュー「げんこつハンバーグ」で英気を養ってから観戦に臨めばいいじゃないか、ということで“さわやか行き”が決まった。

地元の根強い支持は、今や全国区の知名度へ

さわやかは、1977年にコーヒーショップとしてスタートし、1989年には人気メニューの炭火で焼いたハンバーグを前面に押し出した炭焼きレストランさわやかへと名前を変更。
静岡県民にとってはお馴染みのローカルファミリーレストランで、全国区の知名度を持ち合わせている。

ロードサイドに立つさわやかな看板

▲静岡県内のみに展開するさわやかには県内外から多くの人が駆けつける。

あまりの人気っぷりに休日のランチタイムには1,2時間の待ち時間も当たり前。
それでも開業から変わることなく静岡県内でのみ展開するさわやかは、静岡を訪れなければ食べることが出来ないのだから、なんとしてでも味わってみたい。

それほど人気があるのなら、もっと広い地域で展開すればいいのではと思われるかもしれないが、牛肉の調達から加工はもちろん、工場から店舗への配送に至るまで、こだわり抜いているからこそエリアを限定し、接客サービスを含め、高い品質を維持しているのだとか。

訪れたのは静岡市内を東西に横切る国道1号線に並行する、静清バイパス鳥坂インターそばの静岡瀬名川店。
到着したのはオープン時間をやや過ぎた11時ごろだったが、驚くことにすでに駐車場には多くの車が停まっていて、入口付近では受付や入店を待つ人が多くいた。

さわやか静岡瀬名川店の外観

▲休日や商業施設内の店舗は混雑することが多いが、平日やランチ・ディナータイムを少し外すと比較的スムーズに入れることも。

行列の絶えないさわやか。QRコードで時間を教えてくれる安心感

「これは随分待ちそうだな…」そんな不安を抱きつつも自動受付機に人数を入力して発券をすると、なんと50組ほどで約70分の待ち時間とあった。
午後の予定に差し掛かってしまいそうで、待つのも躊躇したが、ここまで来たからには引き下がれないと覚悟を決めて順番が来るのを待つことにした。

発券された紙に表示されているQRコードをスマホで読み取ると、残りの待ち組数と予想呼び出し時刻をリアルタイムに確認できるので、駅チカやショッピングモール内の店舗であれば周辺で時間を潰したりすることも。

車内に戻って他愛のない話に花を咲かせていると、いつの間に12時をまわっていて、僕らの順番がやってきた。
メニューに一通り目を通してから注文したのはもちろんげんこつハンバーグ。

さわやか静岡瀬名川店の内観

▲山小屋を思わせるぬくもり感のある店内もさわやかの魅力のひとつ。

さわやかの放つ絶大な魅力は、唯一無二

しばらく待っているとウェイターが熱々の鉄板にのせられたハンバーグを持ってきてくれた。
こぶしほどの大きさのハンバーグはテーブルで半分にカットしてくれるらしい。

注文時に「焼き加減はおすすめのレアでお待ちします」と聞いていた通り、切り分けてくれたハンバーグは綺麗な赤味が残っていてジューシーな肉汁が溢れ出る。
鉄板に切り口を押し付けると「ジュワーッ!」と大きな音を立てて一気に煙が立ち昇った。
テーブルで展開される、流れるようなカットからの加熱は、もはや一種のエンターテイメントといってもいい。

熱々の鉄板にのったげんこつハンバーグ

▲ハンバーグは牛をモチーフにした熱々の鉄板にのせられてやってくる。
一口食べれば人気の理由にも頷く。

熱々のうちにと一口サイズに切って食べてみると、炭火で焼かれた香ばしい味わいと、肉の旨みが口いっぱいに広がる。
キッチンからのバトンを受け取って、テーブル上で調整された見事な火加減により、見た目以上にジューシーさが感じられた。

人気店ゆえの混雑はあるにしても、ファミレスらしい気軽さと期待値を大きく超えてくる旨さとを兼ね備えたオンリーワンの魅力を放つさわやかは、もはや静岡の“フードカルチャー”といっても良いんじゃなかろうか。

今、僕は声を大にして言いたい。
「静岡に行くのならばさわやかは外せない!」と。
一度この味を知ってしまえばそう宣言せざるを得ないのだ。

text:Tomoki Sasaki

さわやか静岡瀬名川店のエントランス

さわやか 静岡瀬名川店

◇静岡県静岡市葵区瀬名川2-39-37 静清バイパス 鳥坂ICすぐ OPEN-11:00(土日祝10:45)〜23:00(L.O.22:00) 休-12/31・1/1 HP-https://www.genkotsu-hb.com/shop/senagawa.php

オレンジ一色の熱気に包まれたIAIスタジアム

〈清水エスパルス〉サッカー王国で出会うオレンジ色の熱気。

今季初勝利をかけて挑んだ東京ヴェルディ戦。
苦しい試合展開にもどかしさを覚えながらも後半終了間際に見事な決勝ゴール。

選手達の活躍に一喜一憂しているうちに、スタンドで見ている僕らも、さながら“12番目の選手”として一緒に戦っているような不思議な感覚におそわれた。

新潟で愛される、ちょっと変わった元祖B級グルメ

新潟の〈イタリアン〉-日本全国ソウルフードを訪ねて。vol.1

イタリアンというと小洒落たイタリア料理が思い浮かぶけど、新潟や長岡市、その周辺の街ではちょっと変わったB級グルメが連想されるらしい。

それが、太めの中華麺にトマトソースやミートソースをかけたご当地グルメ「イタリアン」。

香ばしいソース焼きそばの味に、ほんのりとした甘味と適度な酸味が感じられるトマトソースが、中華麺によく絡んでとても美味しい。

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