“イタリアン”と聞いて思い浮かぶものはなんでしょうか。
大抵は、ピザやパスタ、ちょっと洒落たコースのイタリア料理が思い浮かびますよね。
ところが新潟市や長岡市、その周辺の街でイタリアンというとこれらの他に、とあるソウルフードが連想されるのだそうです…。
一度食べたら忘れられない、その美味しさ
それがちょっと太めの中華麺にトマトソースやミートソースをかけたご当地グルメ「イタリアン」です。
最初にこのグルメのことを聞いた時、正直なところ「えっ、それおいしいの?」と思ってしまったものです。
しかし、燕三条に行った時にお土産として購入して、初めて食べるとそのおいしさにとても驚きました。
香ばしくて奥深いソース焼きそばの味に、ほんのりとした甘味の中に適度な酸味が感じられるトマトソースが、やや太めの中華麺によく絡んでベストマッチしているんです。
ベースは焼きそばであることから「イタリアン焼きそば」と呼ばれることもあります。
▲ちょっと太めの中華麺にトマトソースがよく絡む。
イタリアンは一度食べると忘れられないほどにおいしい。
「イタリアン」この街で生まれ、愛され続ける
新潟市古町であんみつなどを提供していた甘味喫茶「三日月」がイタリアンの発祥なのだそう。
当時、三日月の経営者だった三日月晴三さんがお店で販売するようになったのは1960年のことです。
東京の飲食店で食べた焼きそばの味がきっかけで、この風変わりでありながらもおいしいメニューが生まれたと言われています。
その後、親交があり長岡で甘味喫茶(現在のフレンド)を経営する木村政雄さんもイタリアンを提供するようになったのだそう。
現在でもみかづきは新潟市やその周辺の街を、フレンドは長岡市とその周辺の街を中心とした店舗の展開をしているのです。
当初、甘味喫茶として営業していたみかづきとフレンドは、三日月さんと木村さんが参加したアメリカへの視察旅行などの影響も受けながら、ファストフードへと業態を変えていき、現在のようなスタイルになったのだそうです。
▲イタリアンはB級グルメの元祖であり、この街に暮らす人々に愛されるソウルフードだ。
スーパーなどで手土産として購入することもできる。
ソウルフード。それは街のアイデンティティ
僕は旅の最中に地元のスーパーに立ち寄るのが好きで、燕三条を訪れた際も道の駅・燕三条地場産センターの向かいにある「イオン県央店」へと足を運んでみました。
ショッピングモールの国道側の入口をくぐり抜けると、すぐ目の前にはみかづきの店舗が。
ファストフード店らしく、注文と商品受け取りのためのカウンターに、飲食用の簡素なテーブルとイスが並ぶ店内。
買い物にやってきた地元の人が気軽に食事を楽しむ光景が見られました。
肩肘を張らずに、「食べたい!」と思った時に気軽にお腹を満たしてくれるソウルフード。
“街のアイデンティティであり人々の心の拠り所でもある”それがソウルフードの良さであり、僕が惹かれる理由でもあるのです。
text: Tomoki Sasaki
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MIDNIGHT ISSUECAN #05 「新潟の米菓」と、きらりと光る「浮き星」。
地域のご当地お菓子で検索をしてみたり、現地のスーパーに立ち寄ってみたりすると思いもよらぬ発見や、お菓子との出会いが楽しめます。
今回は新潟の米菓と、つい見た目買いしてしまうほどにかわいい伝統菓子「浮き星」についての話。
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〈イノダコーヒ〉本の中の喫茶店に憧れて。- 僕と京都のハムサンド
古都・京都。古くから積み重ねられてきた歴史はこの街に多くの食文化を築いてきました。
その中の一つ、“京都の喫茶文化”を代表する「イノダコーヒ」は1940年の創業で80年以上の歴史を持っています。
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